環境を変えられなくても、考え方は選べる

こんにちは。歴史好きイラストレーターの榎本よしたかです。

フリーランスとして20年以上仕事をしていると、「自分の力ではどうにもならないこと」に直面する場面が結構あります。

景気の波、クライアントの事情、評価や反応…。どれだけ努力しても、自分の力だけでは動かせない現実があります。

そんなとき、僕の心を静かに整えてくれるのが、古代ローマの哲学者エピクテトスの言葉です。

奴隷階級の母から生まれた彼は、自身も奴隷としての人生をスタートさせました。しかも足に障害があったとも言われていて、人生のハードモードさ加減が半端ではなかったようです。だからこそ彼の哲学は、「恵まれた人の精神論」ではありません。むしろ、環境に恵まれない人のための現実的な哲学なんですね。

コケ丸
コケ丸
2000年前の奴隷の思想なんて現代までよく残れたもんだな
よしたか
よしたか
当時から影響力が大きかったらしく、驚くのはローマ皇帝マルクス・アウレリウスの自省録にも度々名前が出てくることだよ。彼の思想は皇帝にも引き継がれていったんだね
コケ丸
コケ丸
奴隷が皇帝の考え方に影響を…!?事実は小説より奇なりだな

「自分の領域」を切り分ける

エピクテトスの思想は、驚くほどシンプルです。 それは、世の中には、「自分でコントロールできること」と、「できないこと」があり、それを区別せよ、というものです。

例えば、僕らの仕事に当てはめてみると、

・景気の善し悪しや市場の流れ
・クライアントの急な方針変更
・他人からの評価やSNSの反応
・すでに起きてしまった過去の失敗

これらは、実は自分の力では「コントロールできないこと」に分類されます。 エピクテトスは、こうした「自分の領域外」のことに執着し、一喜一憂することが、すべての苦しみの原因だと説きました。

逆にコントロールできるのは、

・起こったことを受け入れる自分の態度
日々の努力
今この瞬間の選択

この部分だけなんですね。

奴隷であっても、内面は自由でいられる

エピクテトスには、ある有名な逸話があります。 奴隷だった頃、主人からひどい暴力を受け、足を折られそうになったときのことです。 彼は取り乱すことなく、淡々とこう告げたと言われています。 「そんなにひねったら、足が折れてしまいますよ」

そして実際に足が折れたとき、彼はこう付け加えました。 「ほら、言った通り折れてしまったでしょう」

コケ丸
コケ丸
ええっ、それ冷静すぎない?普通パニックになるよ
よしたか
よしたか
そうだよね。でも、彼は「自分の足を折らせないこと」はコントロールできないけれど、「起きた出来事をどう受け止めるか」は自分にしか決められない、と考えていたんだ

どんなに過酷な環境に置かれても、身体の自由を奪われても、自分の心の中の自由だけは誰にも奪われない。この感覚が、彼の哲学の核になっています。

これは現代でも結構リアルで、

・他人からの理不尽な評価
・突然の機材トラブル
・思い通りにならない状況

そういうときほど、「反応の仕方」は選べる、ということを忘れないことが大事なんですね。

比較という名の「領域侵犯」

エピクテトスが特に警戒していたのが、他人との比較です。 今の時代、SNSを開けば誰かの華やかな成功が目に入ってきますよね。あの人はあんなに売れている…あの人はあんなに高く評価されている…なのに自分は…。

こうした感情が湧いたとき、エピクテトス流に言えば、それは「自分の領域」を踏み越えてしまっている状態です。 他人の成功や評価は、自分の力ではどうすることもできません。 そこに心を奪われるのではなく、

・今、自分が描いている線に集中する
・今日、誰かに届ける言葉を丁寧にする
・自分の成長だけを見つめる

そうした「自分の領域」にだけエネルギーを注ぐことが、メンタルを折らないためのコツなのだと思います。

感情に「支配」させない技術

ストア派の哲学は、よく「感情を消す思想」だと誤解されることがあります。 でも、実際はそうではありません。 エピクテトスも、悲しいときは悲しみ、怒りが湧くこともあったはずです。

大切なのは、湧き上がった感情に「支配」されないこと

・トラブルが起きたとき、パニックになる前に一度立ち止まる
・誰かの一言に傷ついたとき、「これは相手の課題だ」と切り分ける

感情に振り回されないための「心の筋肉」を鍛えていくようなイメージでしょうか。 長く仕事を続けていく上では、技術を磨くことと同じくらい、この精神状態のメンテナンスが重要になってくる気がします。実際、長く仕事を続ける人ほど、この「感情との距離感」がうまい印象がありますね。

不自由の中で見つける「本当の自由」

奴隷という、究極的に不自由な立場から出発したエピクテトスが最後に得たのは、何ものにも縛られない「内面の自由」でした。

「環境さえ良ければ、もっといい仕事ができるのに」 「もっと条件が整えば、幸せになれるのに」 僕もつい、そんなふうに考えてしまうことがあります。

でもエピクテトスは、完璧な環境が整うのを待つのではなく、今の不完全な環境の中で「どう振る舞うか」を自分で選ぶことこそが、「本当の自由」なのだと教えてくれます。

フリーランスでも会社員でも同じで、環境が完全に整うことなんてほぼありませんから、この考えはとても大切だと思います。

最後に

 今日もし、思い通りにいかないことにイライラしてしまったり、他人と比較して落ち込んだりしたなら、自分にこう問いかけてみてください。

それは、今の自分がコントロールできることだろうか?

そうやって「自分の領域」に戻ってくるだけで、不思議と呼吸が少し楽になったりします。環境は変えにくい。でも、考え方は選べる。エピクテトスは、そのシンプルな事実を教えてくれる哲学者だと思います。

よしたか
よしたか
以上、エピクテトスに学ぶ「環境に振り回されない働き方」のお話でした

おしまい。

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榎本 よしたか
フリーランス歴20年の歴史好きイラストレーター。 歴史や哲学、幸福論をテーマに、現代の仕事や組織に通じるヒントを考えるブログです。 戦国時代、幕末、近代、そして古代思想まで。時代や国を越えて、人間の選択と意思決定の構造を見つめ直します。