ニーチェに学ぶ「自分の軸で働く」ということ

こんにちは。歴史好きイラストレーターの榎本よしたかです。

今日はドイツの哲学者、フリードリヒ・ニーチェのお話をしてみたいと思います。

ニーチェといえば、「神は死んだ」とか「永劫回帰」といった、なんだか強くて難しそうな言葉のイメージがありますよね。でも、彼の人生をたどると、実はかなり不器用で、「自分の価値をどう伝えるか」に誰よりも苦労し続けた発信者だったことが見えてきます。

コケ丸
コケ丸
ニーチェかぁ。なんだか怖そうなイメージだけど、不器用だったのか?
よしたか
よしたか
そうなんだよ。若くして大学教授になるほどの天才だったけれど、体調不良で若くして退職して、そこからはずっと孤独な執筆生活だったんだ。現代でいえば、実力はあるけれど組織に馴染めなかったフリーランスに近いかもしれないね

評価されない時期をどう過ごすか

ニーチェは「悲劇の誕生」、「人間的、あまりに人間的」など多くの哲学書を執筆しましたが、彼が生きている間はほとんど売れませんでした。 読者も少なく、周囲からの評価も決して高いとは言えなかった。大学の教授職を辞めてからは友人の援助で生活するほど困窮していたし、本人はかなり焦っていたと思われます。

いま現在は哲学史のスター的な扱いですが、彼はかなり孤独な時期を過ごしています。しかも健康状態が悪く、頭痛や視力低下に苦しみながらの執筆だったようで、ビジネス的には正直「成功者」には見えないですよね。

それでも彼は書くことをやめませんでした。

評価が来ないと、「自分のやり方が間違っているんじゃないか」と疑いたくなるのが普通ですよね。でもニーチェは、「伝わっていないのなら、伝え方を変えてみよう」と考えたようです。 その試みの結晶が、有名な『ツァラトゥストラはこう語った』という本でした。

『ツァラトゥストラはこう語った』の概要

この本の概要を説明すると、山で10年間孤独な修行をしていたツァラトゥストラという名の男性が人々の元に下りてくるところから始まります。彼はそこで「神は死んだ」と語り、これまで当然とされてきた伝統的な価値観が崩壊しつつある時代を示唆します。

そして、人はただ流されて生きるのではなく、自分自身で価値を作り出す存在――いわゆる「超人」へ向かうべきだ、と説きます。

また、人生がもし何度も繰り返されるとしても、それを肯定できるかという「永劫回帰」という考えも、この作品の大きなテーマです。

ニヒリズムを超えた先にある生の肯定を考える…と言うと難しそうに聞こえますが、要するにニーチェはこう言っているんですよね。

他人の価値観をなぞるだけじゃなく、自分の人生の意味は自分で作れ」と。

社会の善悪を超え、自己の意志で生きよ。無限の繰り返しすら喜べる人生を追求せよ、という物語の核心にあるメッセージは、ニーチェ哲学の到達点とも言えます。

なぜ「物語」という形を選んだのか

このように、この本は哲学書というよりは寓話や物語のような構成になっているんですね。 難解な理論をそのまま並べるのではなく、ツァラトゥストラという主人公に語らせることで、自分の思想を表現しようとしたわけです。

ニーチェは、自分の「思想のコア」は曲げずに、「アウトプットの形式」だけを柔軟に変えてみせたことで、後世に語り継がれる名著を生み出しました。 これ、今現在の仕事でも大事な視点ではないでしょうか。

・いいものを作っているのに、伝わらない
・説明が専門的すぎる
・こだわりが強すぎて、相手に届く言葉になっていない

そんなとき、中身を捨てるのではなく「伝え方」を工夫してみる。ニーチェはその試行錯誤を、一生をかけてやり続けた人なんですね。

コケ丸
コケ丸
工夫しても、すぐには売れなかったんだろ?
よしたか
よしたか
そうなんだよね。実はこの本も、最初は自費出版で、配った先でも「よくわからない」と困惑されたりしたらしいよ。でも、その挑戦があったからこそ、死後に圧倒的な価値が認められるようになったんだね

「群れない」ことの価値

ニーチェの思想の特徴の一つが「群れることへの警戒」です。

みんなと同じ価値観、みんなと同じ働き方、みんなと同じ成功モデル。これを無批判に追うと、自分の軸が曖昧になるという考えです。現代ならこんな感じでしょうか。

・トレンドに合わせすぎる
・評価指標ばかり気にする
・他人のキャリアをなぞる

こういう状態ですね。もちろん参考にするのは大事なんですが、完全コピーだと長続きしません。ニーチェはそこをかなり強く指摘しています。群衆の同調圧力に抗い、孤独ながら自由な精神で独自の道を歩む姿勢を推奨していたんですね。

「自分の価値を自分で作る」という発想

彼の思想でよく出てくるのが「価値の創造」です。難しく聞こえますが、簡単に言えば、「汝はこうあらねばならない」という他人軸の評価ではなく、「自分の仕事の意味は自分で決める」という自分軸を持つとことですね。例えば仕事でも、

・売上だけが価値じゃない
・知識と経験の蓄積も価値
・人との信頼も価値

こういう複数の軸を持っている人のほうが、精神的に安定します。一つの評価に依存すると、ブレやすいですからね。

発信スタイルとしてのニーチェ

もう一つ面白いのが、彼の文章スタイルです。かなり挑発的なんです。断言が多く、キャッチコピー的な言葉が多いんです。「神は死んだ」なんてその典型例ですよね。

現代風に言えば、セルフブランディングがうまい。

もちろん狙っていた部分もあると思いますが、結果的に彼の思想は強烈に記憶される形になりました。仕事でも、自分の強みをきちんと言語化することや、独自の視点を持ち、記憶に残る表現を選ぶ力などは大切ですね。

ただし、孤独は万能ではない

ここは補足しておきたいんですが、ニーチェの人生の後半は精神的にかなり厳しい状態になります。

孤独は集中を生む一方で、孤立しすぎると危険でもある…。このバランスは、現代の働き方でも重要だと思います。

あの「巨大なヒゲ」に隠された秘密

ここで一つ、ニーチェの性格がよくわかる雑学を。 ニーチェといえば、口元を覆い尽くすような巨大な口ヒゲがトレードマークですよね。 実はあのヒゲ、彼なりの「防御」だったという説があります。

ニーチェは自分自身のことを「あまりに繊細で、傷つきやすい」と自覚していました。だからこそ、あえて厳格で強そうなヒゲを蓄えることで、自分の弱さを隠す仮面にした……。 彼にとっての発信スタイルも同じで、あえて挑発的で強い言葉を使うことで、内面の繊細さを守っていたのかもしれません。

コケ丸
コケ丸
あのヒゲ、バリアだったのか。なんだか急にかわいく見えてきたぞ

短期の評価と、長期の価値は別物

ニーチェの生き方から僕らが学べるのは、「短期的な反応に振り回されない」という覚悟なんじゃないかなと思います。

・評価されなくても、発信の灯を消さない
・伝え方を工夫し続けることをやめない
・孤独であっても、自分なりの「軸」は手放さない

フリーランスやクリエイターとして活動していると、どうしても目の前の数字や評価に一喜一憂してしまいます。でもニーチェのように、自分の言葉が誰かに届くまでに時間がかかることもある。 大切なのは、自分が「これだ」と信じるものを、どうにかして世の中に届けようともがき続けることそのものにある気がします。

最後に

ニーチェは晩年、精神を病んで静かな最期を迎えました。いわゆる「成功者」としての人生ではなかったかもしれません。 でも彼の言葉は、死後100年以上経った今も、世界中の人々の心を揺さぶり続けています。

もし今、自分の仕事が誰にも伝わっていないような気がして、孤独を感じているなら、「発信をやめる」のではなく、「伝え方をほんの少し変えてみる」のはいかがでしょうか。 ニーチェが物語を綴り、ヒゲで自分を奮い立たせたように。

今日できる小さな工夫が、いつか誰かの元へ届く確かな一歩になるかもしれません。

よしたか
よしたか
以上、ニーチェという「伝わらない発信者」から学ぶ仕事術のお話でした

おしまい。

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榎本 よしたか
フリーランス歴20年の歴史好きイラストレーター。 歴史や哲学、幸福論をテーマに、現代の仕事や組織に通じるヒントを考えるブログです。 戦国時代、幕末、近代、そして古代思想まで。時代や国を越えて、人間の選択と意思決定の構造を見つめ直します。